警察官は、
職務質問に対し逃げようとした相手の手首を掴むことは任意捜査としてできます。しかし、相談者に対して、バイクから首を掴み引き摺り下ろすことができるかは疑問です。
警察署宛、事実を詳細に書いた文書を提出し、抗議する。検察庁宛に、暴行罪で、告訴状を出す。
それとは別に、その警官および都道府県を被告として、慰謝料請求の訴えを起こす、と言ったところでしょう。
下記判例も参考に。
最高裁判所第3小法廷平成6年9月16日決定
(二) これに対し、その後被告人の身体に対する捜索差押許可状の執行が開始されるまでの間、警察官が被告人による運転を阻止し、約六時間半以上も被告人を本件
現場に留め置いた措置は、当初は前記のとおり適法性を有しており、被告人の覚せい剤使用の嫌疑が濃厚になっていたことを考慮しても、被告人に対する任意同行を求め
るための説得行為としてはその限度を超え、被告人の移動の自由を長時間にわたり奪った点において、任意捜査として許容される範囲を逸脱したものとして違法といわざ
るを得ない。
(三) しかし、右職務質問の過程においては、警察官が行使した有形力は、エンジンキーを取り上げてこれを返還せず、あるいは、エンジンキーを持った被告人が車
に乗り込むのを阻止した程度であって、さほど強いものでなく、被告人に運転させないため必要最小限度の範囲にとどまるものといえる。
また、路面が積雪により滑りや
すぐ、被告人自身、覚せい剤中毒をうかがわせる異常な言動を繰り返していたのに、被告人があくまで磐越自動車道で宮城方面に向かおうとしていたのであるから、任意
捜査の面だけでなく、交通危険の防止という交通警察の面からも、被告人の運転を阻止する必要性が高かったというべきである。
しかも、被告人が、自ら運転することに
固執して、他の方法による任意同行をかたくなに拒否するという態度を取り続けたことを考慮すると、結果的に警察官による説得が長時間に及んだのもやむを得なかった
面があるということができ、右のような状況からみて、警察官に当初から違法な留め置きをする意図があったものとは認められない。これら諸般の事情を総合してみると、
前記のとおり、警察官が、早期に令状を請求することなく長時間にわたり被告人を本件現場に留め置いた措置は違法であるといわざるを得ないが、その違法の程度はいま
だ令状主義の精神を没却するような重大なものとはいえない。