まだ、後遺症認定を受けていない時期に、さらに、事故に遭って、後遺症を負ったら、それぞれの事故につき、後遺症に対する寄与度(%)を認定すると思います。
下記
名古屋地方裁判所平成4年9月7日判決では、「頸椎等の疾患のある女性が二度の交通事故により脊髄損傷の傷害を負った場合、二度の交通事故と身体的素因が寄与しているとし、第一次事故の寄与割合を五割五分、第二次事故の寄与割合を二割五分、身体的素因の寄与割合を二割としました」
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名古屋地方裁判所平成4年9月7日判決
二 第一事故と第二事故の間の関連共同性の有無
1 原告は、第二事故は、原告が第一事故に基づく傷害の治療中に発生したものであり、第二事故発生後に原告が被った損害は、第一事故と第二事故の競合によって
もたらされたものであるから、第一事故と第二事故の間には、客観的な関連共同性があると主張する。
2 しかしながら、民法七一九条が加害者に損害賠償債務の全額連帯という重い責任を負担させる要件として関連共同性なる要件を丶加したことから考えて、この関
連共同性なる要件は、複数の加害行為が社会的にみて一個の加害行為と認められる場合のことを表現したものと解するのが相当であるところ、本件について検討すると、
第一事故と第二事故との間に主観的共同性が存在しないことはもちろん、過失行為が競合して一個の事故を発生させたものでもなく、第一事故自体又はそれによる負傷が
原因となって第二事故を誘発したというような各加害行為間の連鎖関係もなく、原告の後遺障害の原因として競合したという関係が認められるにすぎず、かかる被害増大
についての相互加功性のみから加害行為の関連共同性を導いたり、又は、共同不法行為の成立を認定することは、右に説示した関連共同性なる要件の意義に照らし、相当
ではないといわなければならない。
したがって、第一事故と第二事故との間に関連共同性を認めることはてきないというべきであるから、原告の右主張は採用できない。
第二事故発生後の損害については、
第一事故、第二事故及び原告自身の身体的素因の寄与割合に応じて、その責任負担を定めるのが相当である。3 そこで、寄与割合について検討する。
成谷鑑定は、原口の加齢性・経年性変化は、同年代の人に比べて相当に進行していることも考え合わせると、第一事故、第二事故及び原告自身の身体的素因が右後遺障
害に寄与した割合は、四対三対三であると評価している。しかしながら成谷証言においては、第二事故の寄与割合を三割と評価するのはやや高過ぎるとしていることに加
え、事故までに何も症状がなかったとすれば、事故というきっかけがなければ突然に症状として発現することはないことが認められる上(青木証言)、前記のとおり第一
事故と第二事故との間に、BSR等の腱反射が亢進していたことからすれば、第二事故の前に第四頸椎よりも高いレベルに損傷が生じていた可能性を否定することはてき
ないことをあわせ考えると、原告の後遺障害のいわば引金となっている第一事故の寄与割合を成谷鑑定よりも引き上げ、第二事故の寄与割合を引き下げるとともに、原告
自身の身体的素因の寄与割合も引き下げるのが相当であるから、右に挙げた以外の本件における一切の 情をも考慮し、
第一事故の寄与割合を五割五分、第二事故の寄与
割合を二割五分、原告自身の身体的素因の寄与割合を二割と評価するのが相当と考える(出典:判例タイムズ811号177頁)。